使用禁止された繊維状の鉱物
アスベスト(石綿)とは、
自然界に存在する繊維状の鉱物です。
耐熱性・保温性・防音性・絶縁性等に優れ、安価で加工性も高いことから建材をはじめとしたさまざまな場所に用いられました。
しかし、1960年代からアスベストを原因とした健康被害が報告されはじめ、2004年には原則全面使用禁止に。
今も規制以前の建造物にはアスベストを含むものが多く存在し、まだまだ身近な問題として残っています。
アスベストの特徴・種類
アスベストの危険性
アスベスト繊維は目に見えないほど微細で、自然に分解されません。
飛散した繊維は風などが吹くたびに舞い上がり、何度も吸引してしまいます。
吸引した繊維は肺胞にまで届き、排出されず体内に蓄積。
その後、10~40年の潜伏期間を経て体に異常が生じ始めるため、「静かな時限爆弾」ともいわれます。
健康への影響
アスベストを原因とする病気は、じん肺(アスベスト肺)、悪性中皮腫(胸膜・腹膜・心膜)、肺がんなど。
じん肺は肺に蓄積された異物が肺機能を阻害し慢性的な呼吸困難に。
悪性中皮腫は腫瘍が肺組織を硬化させ呼吸機能を低下させます。
潜伏期間の長いこれらの病気は、今対策することが重要です。
アスベストの種類
蛇紋石原料のクリソタイル(白石綿)、角閃石原料のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト石綿、トレモライト石綿、アクチノライト石綿があります。
建築材に多く使用されたのはクリソタイル、クロシドライト、アモサイトで、なかでも9割以上をクリソタイルが占めます。
アスベスト含有建材使用箇所
さまざまな箇所に建築材として使用
優れた耐熱性・保温性・防音性・絶縁性を持つアスベストは、
安価で加工もしやすいため、高度経済成長期には爆発的に使用されてきました。
今でも私たちの周りには、多数のアスベストが存在しています。
なかでも見栄えを重視しない駐車場の天井などに使用された吹付け材は、
著しく発じん性が高いため要注意です。
使用例
建築物(ビル)等
耐火被覆として天井裏や柱、梁などに。
防音効果があるため機械室や駐車場、高温になる煙突内部の断熱材などに使用されています。
建築(住宅)
天井裏のボイラーのパイプや壁の断熱材、屋根の化粧用スレート、石膏ボード、フロアシート等さまざまな箇所に用いられています。